婚活カウンセラーとして、多くの方々の恋愛のお悩みに乗っているのですが、
そのなかで、悩みや問題の根本原因が本人の思考、物事の捉え方にあるなと思うことがあります。
親しい人がウツになった経験や、私自身パニック障害で苦しんだ過去があるため、
心の問題は、私自身が常に自分のテーマとして向き合ってきた課題です。
今回は認知行動療法から学んだ、「思考の歪み」と対処法について書いてみます。
恋愛に限らず、「認知」と「行動」を変えることで、つらい感情は軽減され、人生をより前向きに歩んでいくことができます。
知っておいて損はない考え方なので、ネガティブな感情に苦しめられがちな人は、ぜひ読み進めてみてください。
認知の歪みとは何か?
例えば、上司にミスを厳しく叱責されるという出来事があったとします。
Aさんの反応はこうでした。
それにしてもあんなに厳しい言い方しなくてもいいのに。
上司は僕のことが嫌いだから、あんなにキツイ言い方をするんだ。
もう自分にはこの仕事は向いていないのかもしれない。
Bさんの反応はこうでした。
上司もいろいろな案件が積み重なっていて、余裕がなかったのだろう。
次はこうならないように気をつけよう。
同じ出来事に遭遇したときに、
いつまでも落ち込み続ける人もいれば、気持ちを切り替えて行動できる人もいると思います。
なぜこのような違いが生まれるかというと、物事の捉え方が違うからです。
簡単にいえば、この物事の捉え方のことを「認知」と言います。
つらい感情を引き起こす原因は、つらいできごとや状況そのものではなく、
頭のなかにある認知というフィルターなのです『やさしくわかる認知行動療法』より
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自動思考とは?/頭にパッと浮かぶ考え
自動思考とは、さまざまな場面や状況で瞬時に浮かぶ思考やイメージのことです。
先ほどの例で言えば、上司に厳しく怒られたときに
「上司は自分のことを嫌いだから、こんな言い方をするんだ」
という考えがとっさに浮かんだなら、それが自動思考です。
このような自動思考に影響を受けていると、
例えば、上司とすれ違ったときに挨拶をしても、返事がなかった場合
「上司に嫌われているのかもしれない」と思うでしょう。
もしかしたら、上司は単に、あなたに気づかなかっただけなのかもしれません。
事実をゆがめ、誤った推論をすることで、自分を苦しめる自動思考が生まれてしまうのです。
アメリカの精神科医、アーロン・ベック博士は推論の誤りは以下の10種類に分けられるとしています。
① 全か無か思考
② 一般化のしすぎ
③ 心のフィルター
④ マイナス思考
⑤ 結論の飛躍
⑥ 拡大解釈と過小評価
⑦ 感情的決めつけ
⑧ すべき思考
⑨ レッテル貼り
⑩ 個人化
それでは、これらについて、1つずつ見ていきましょう。
今回は、恋愛や夫婦関係の事例に当てはめて考えてみたいと思います。
1 全か無か思考
100%でなければ、0だと考える思考。物事を白か黒かで判断する。
たまにうまくいかないだけでも、すべてがダメだと思い込む。
状況:婚活パーティで誰とも連絡先が交換できなかった
2 一般化のしすぎ
たった1つのよくないことを全ての物事に当てはめてしまうこと。
状況:結婚相談所でお見合いをした相手が、恋愛に不慣れなタイプだった
3 心のフィルター
悪い面にばかりとらわれ、いい面に1つも目が向けられない。
状況:夫が家でゴロゴロしている
4 マイナス思考
すべてにマイナスの解釈を加えてしまうこと。
状況:今日は夫婦の会話が少なかった
5 結論の飛躍
根拠もないのに、自分にとって悪い、悲観的な結論を出す。
状況:ラインの返信が返ってこない
6 拡大解釈と過小評価
自分の失敗や短所は過大に考え、成功や長所は過小評価する。
状況:合コンでうまく異性と話せない
7 感情的決めつけ
理性ではなく、感情で物事を判断して決めつけること。
状況:恋人と別れてしまった
8 すべき思考
「~しなければ」「~しなければいけない」という強い思い込み。
自分に過度なプレッシャーをかけたり、他者に対しても同じ基準を求めて、怒りを感じたりする。
状況:彼氏(彼女)から連絡が返ってこない
9 レッテル貼り
2の「一般化のしすぎ」が極端化し、自分や他者に対して「○○な人」というレッテルを貼ってしまうこと。
状況:フラれてしまった
10 個人化
自分とは関係ないことまで自分と関連づけて考えてしまうこと。
よくないことをすべて自分のせいだと考える。
状況:最近夫がイライラしている
思考の歪みに気づくことが、「認知」を変える方法
何かイヤな出来事が起きたときに、あなたはどのような反応をするでしょうか?
不快な出来事に対して過剰なまでの反応をしたり、いつまでもネガティブな感情を引きずるといった場合には
歪んだ思考に人生の幸福をジャマされてしまっている可能性があります。
大なり小なり、誰もが思考の歪みを持っています。
しかし、それがあまりに不健全なカタチで、さまざまな場面で悪影響を及ぼしているのだとしたら、
思考の歪みを見つめ直す必要があります。
認知のゆがみを健全にするには、ゆがみに気づくこと、
そして、それを客観的な事実に基づいて判断し、正すという作業を繰り返すことです。
思考のゆがみの調整方法
① 自分にとって、不快だった出来事を書き出す
・どのような思考が浮かんだか
・その思考は、上記の10のタイプの歪みのどれに当てはまるか
を書き出してみてください。
② そして次に、以下を書き出してみてください
・そのように考えた根拠
・浮かんだ思考に対する反論(その思考が間違っていると思われる理由)
「根拠」と「反論」ではどちらが多く、説得力があるでしょうか。
客観的に判断し、反論のほうが多ければ、「歪んだ思考」であると判断しましょう。
また、「あの人だったらどう考えるだろう?」という発想で反論を考えるのもいい方法だと思います。
③ 歪んだ思考を、事実に合わせた思考に置き換える
健全な思考の例
「ミスは誰でもするのものだし、自分の能力が極端に劣っているわけではない。次からは気をつけよう」
「フラれたからといって、一生恋人ができないわけではない。また頑張ろう」
10の項目は重なり合うところも多く、なかなか判別が難しいところもあるかと思います。
また、1つの出来事に複数のゆがんだ思考が入り込んでいるケースもあると思います。
しかし、大切なことは正確に分類することではなく、思考の歪みに気づくこと、客観的な思考に置き換えることです。
認知の歪みを変えることは大変
認知のゆがみを変えることは、そう簡単なことではありません。
なぜなら、自動思考は何千回、何万回と、これまで自分の中で反復されてきた考え方だからです。
これは「癖」を変えることなので、ちょっとやそっとやってみたからといって簡単に変わるものではありません。
繰り返しのトレーニングと習慣化が必要です。
私のオススメは、日記をつけることです。
ただ起きた出来事や感情だけを綴るのではなく、
1日の出来事のなかで、イヤな感情が浮かんだときのことをメモします。
そして、それが歪んだ思考から生まれているのではないか、正しい置き換えができないかを考えて書き留めます。
これを習慣にしていると、日頃から自分の「認知の歪み」に気づきやすく、
健全な物事の捉え方が少しずつできるようになってきます。
日頃から日記をつける習慣がある人は、ふと思い浮かんだネガティブな思考についても書き留めるようにしてみましょう。
常に客観的な根拠を求めて、思い込みを手放そう
繰り返しになりますが、思考の歪みとは、客観的な事実に基づかない、思い込みから生じています。
つらい出来事に遭遇したときには、
・自分の思考が「客観的事実」に基づいた判断なのか
・根拠のない思い込みや推論が交じっているのではないか
この点を常に見つめ直す習慣をつけてみてください。
このように意識するだけでも、前向きで行動的な人生に変わっていきます。
皆さまが、今日も良き1日を送れますように!
現在私は、恋愛マッチングサービスの運営や、恋愛に悩む方々のカウンセリングを行っています。
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